エメラルドツリーボア(Corallus caninus)

Corallus caninusは一般的にエメラルドツリーボアと呼ばれるボア科ボア亜科ツリーボア属の無毒の蛇で、南アメリカ熱帯雨林で見られる。現在、亜種は確認されていない。

 

説明

成体は長さ約6フィート(1.8 m)になる。彼らは高度に発達した前歯をもつ。

色と模様は、概してエメラルドグリーンの地色に、白い不規則に途切れたジグザグの縞模様もしくは背中を通るいわゆる「ライトニングボルト」、そして黄色い腹部から成る。その明るい色合いと模様は南アメリカの蛇の間ではとても独特である。幼蛇は暗いオレンジから煉瓦色で、9〜12月齢でエメラルドグリーンになる。これはニシキヘビの仲間であるミドリニシキヘビ(Morelia viridis)でも起き、彼らの幼蛇はカナリアイエローか煉瓦色である。一般的に信じられていることとは逆に、ミドリニシキヘビの様な黄色い幼蛇はエメラルドツリーボアでは現れない。地域によって新しい亜種として分類するべきと考える爬虫類学者もいる。地域による形態的特徴を示した広くは用いられてないCorallus batesiiという学名がある。アマゾン川由来の標本が最も大きいという傾向があり、それらは北部のものに比べて大人しく、長さは7〜9フィート(2.1〜2.7 m)にもなる。ペルーに分布する南端のものはより暗い色である傾向がある。アマゾン盆地標本は一般的に背に途切れない白い模様をもち、一方で北方のものは多様な模様をもつ。アマゾン盆地標本の口吻はスリナム共和国ベネズエラボリビア、そしてフランス領ギアナなどで見つかった北方、南方、西方のものに比べて小さい。北方高地の個体とアマゾン盆地個体の雑種も存在することが知られている。

 

エメラルドツリーボアはアジアとオーストラリア原産のミドリニシキヘビ(Morelia viridis)によく似ている。ただし、遠縁にあたるため、これは収束進化のひとつとされる。身体的な違いは、頭部の鱗と口辺部のピット器官の位置が挙げられる。

 

語源

種名もしくは種小名であるbatesiiはイギリスの博物学者であるベイツ( Henry Walter Bates)への敬意を評してのものであり、ベイツ型擬態でも同じく使われている。また、属名であるCorallusはcoral-like(サンゴの様な色)、caninusはcanine-like(犬のような顔つき)からきている。

 

地理的範囲

コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア南部、ブラジル、ベネズエラからスリナム共和国、いわゆるギアナ高地を含むギアナなど南アメリカのアマゾン盆地で見られる。基準産地(type locality)はAmericaeである。「Basin' variant」は、名前が示すように、スリナムギアナ南部、ベネズエラ南部からコロンビア、ペルーとブラジルのアマゾン盆地とアマゾン川周辺のジャングルでのみ見られる。

 

食性

食性は主に小型哺乳類で構成されるが、トカゲやカエル、小型の鳥類も捕食することが知られている。本種は極めて代謝が遅いため、地表で生きる種よりも食餌は少なく、数ヶ月食事を摂らないこともある。これまで、主な食性は鳥類によって構成されていると考えられてきたが、胃の内容物の研究が食性の大部分を小型哺乳類が占めることを示した。新生児や幼蛇はトカゲやカエル、特にグラスフロッグを捕食することが知られている。

 

生殖

本種は卵胎生で、雌は平均して6〜14匹、時にそれ以上の数の子どもを一度に産む。ただし、この数以上を産むことは極めてまれである。新たに産まれた幼蛇は特徴的な煉瓦色からオレンジの色合いで、12ヶ月以上の時間をかけて個体発生的に色が変わり、徐々に完全なエメラルドグリーンに変化していく。